
大人が語学留学する時には子供がどのように言語を習得するかを知ることが役に立つ。
カナダ留学中、まさに子供の頃と同じように英語を学ぶことができた。
目次
大人が語学留学する前に知っておきたいこと

しばらく考えて、私はこう答えた。



子どもの頃に、今みたい(何年も英語を勉強しているのに全然話せない)な苦労をしていましたか?

大人が言語を習得するのは難しい?ワケ
この疑問に答えるためには、「自分が子どもだった頃にどういう順番で日本語を習得したのか?」を考えることが役に立つ。
まだ歯も生えそろっていない、歩くこともほとんどできなかったくらいの頃。
自分は
答えは考えるまでもなく、誰もが①まず言葉を発する(話す)ことができるようになって→②次に読み書きができるようになった、はず。
事実、この①→②の順番は、世界中のどんな国の、どんな人種の、どんな言語圏の人においても同じ。
歯も生えそろってないし、発声器官も未発達だから、最初は「発音が簡単かつ短い言葉」しか言えない。
だけど子どもの身体や脳は毎日成長し、使える語彙がどんどん増え、いつの間にかもっと長く、もっと複雑なことでも話せるようになっていく。
まず「①話す」ことによって周囲の人(親やきょうだい、祖父母や近所の人など)とコミュニケーションをとるようになり、それからようやく(多くは小学校に入って)「②読み書き」を習うようになる。単語の書き取りや文法の暗記から言語の習得を始める赤ちゃんなんて、いない。
もしいたとしたら、それは世界的なニュースになる。
そういったことも、バンクーバーで受けていたマンツーマンレッスンで、学んだ。
留学しても英語が話せないと…悩む
自分はバンクーバーで留学を始めた当初、現地の語学学校(ESL)に通っていた。
当時日本で大学を卒業して、数年働き、自分なりに英語は「独学」したつもりだった。
カナダで毎日英語を勉強したのに、話せない
後悔したが、もうどうしようもなく、「ここで毎日ガンバッテ英語を勉強すれば、話せるようになる、はず・・!?」と思い、それからは、本当に毎日英語を勉強した。
だけどそうやって、3ヶ月が経とうというのに自分で「英語が話せている」とは、思えなかった。
カフェでコーヒーを1杯注文するのすら、店員さんの英語が聞き取れないから「レジでもたもたしたらどうしよう」、「スムーズに理解してもらえなかったらどうしよう」と、緊張していた。
実際、私には「Coffee」の発音が難しくて、カタカナ英語で言ってもなかなか理解してもらえないので途中から「Tea」にしたりすることもよくあった。
3ヶ月の間、学校には遅刻も欠席もせずマジメに通ったし、学校が終わればカフェや図書館で「勉強」し、家に帰っても「勉強」し、1つでも多く単語をおぼえて、1つでも多くの文法を理解しようとした。
それでも・・「自分が英語を話せている」とは思えなかった。
日本の学校で受けた英語の授業と、カナダの学校で受けた英語の授業
自分が日本の中学・高校(と大学)で受けてきた英語の授業では、教室に自分以外にも生徒がたくさんいて、何も発言しなくても授業は勝手に進んでいく。
(というかむしろ授業中に自発的に発言することは歓迎されていなかったが。)
授業の「内容」はというと、ほとんどの時間は先生の説明を聞いて、あとは教科書や問題集を使い、単語や文法やイディオムや構文を暗記する。
カナダの語学学校(ESL)も、先生が日本人からネイティブの先生になり、英語で進むだけで、あとは同じと感じた。
海外で語学学校に通って英語を勉強しても、内容自体は日本の学校の英語の授業と変わらない。
クラスメートが10~15人もいる①グループレッスンだから授業内で話すチャンスはなかなかなく、大半の時間は先生の講義を②リスニングし、教材を使って③単語や文法を暗記する「①+②+③=日本式の英語の勉強」で、違うのは授業が全て英語で進むということくらいだった。

だから3ヶ月やそれ以上学校に通っても、英語が「思ったほど話せない」と悩んでいる人にたくさん出会った。
「海外で英語を勉強しても話せるようにならないなんて信じられない」と思う人は、ぜひ「ワーホリ 失敗」や「留学 失敗」でググってみてほしい。
暗記も教材も宿題もなしの英語学習
そこで、「暗記も教材も宿題もなしで英語を学ぶ」と聞き、そんなことができるのか?と思った。
が、かと言ってそれまでの勉強の仕方を続けても英語が話せるようになるとも思えず、そのレッスンを受けることに決めた。
日本で中高の6年(大学も入れればもっと長い)もかけて、それで話せるようになっていない勉強の仕方(=日本式の英語学習)を、ただ場所だけ変えてくり返したって、話せるようになるわけがないと気づいたのは、そのレッスンを受けるようになってからだった。
私がカナダでワーホリ留学中にマンツーマンレッスンで英語を習った先生は、オーストラリアのメルボルン大学でLinguistic Science(言語教育科学)という学問を修め、言語学の2つの学位を取得した英語学習の専門家で、
①Applied Linguistic Science with the specialty of Methodology of Teaching Foreigner Languages (応用言語教育科学 外国語教育方法論):母国語と同等か、それに近いレベルに短期間で外国語でも到達するための教育法。 ②Psycho-Linguistic(心理言語学):人がとくに新しい言語を習得する際の心理的葛藤(カルチャーショックやホームシックなど)や、言語の認知処理等、言語と心理的な側面を結びつきを研究する学問。 |
大学で学んだことを基に、通常はカナダやアメリカなどの主に多民族国家で、子どもを対象に行われているイマージョン・プログラム(Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/イマージョン・プログラム)を応用して、「大人が短期間で外国語を習得するための学習法」を開発し、教えている。
だからこの英語の勉強の仕方は、先生のレッスン以外では学ぶことができず、レッスンは「暗記なし・教材なし・宿題なし」で英語を「経験」して慣れながらスピーキングを伸ばすことにフォーカスした内容になっていた。
例えば、カナダやアメリカ、南米などを先生も同行して旅行(言語冒険旅行)するコースなどもあった。
・英語の暗記(インプット)ではなく「話すこと(アウトプット)を重視した英語学習プログラム」
と
・ワーキングホリデーや留学の「サポート」
が1つになった『留学エージェント』をカナダに設立。
先生自身は英語・日本語・中国語・スペイン語・ロシア語・ポーランド語の6カ国語を話すマルチリンガルで、母国語である英語以外はすべて自身が確立した学習法を使って習得したということだった。
また大学時代に文部科学省奨学金留学生として筑波大学で交換留学していたこともあるため日本の文化にもかなり詳しく、大学卒業後に早稲田大学や東京外国語大学で言語教育の講演をしたこともあるらしい。

今は先生1人だけでなく、複数の先生方がいて、「先生1人・生徒1人のマンツーマンレッスン」どころか、「先生3人・生徒1人のレッスン(何人もの生徒に対して先生は1人の「グループレッスン」とは真逆!)」が受けられるようになっている。
|
だから私は帰国後、英語「で」勉強することはあっても、英語「を」勉強したことはない。
それでも帰国してしばらくして受けたTOEICではほぼ満点の970点が取れた。
カナダ留学で得た「発見」
他にも下のような疑問が出てきたが、答えはもう同じだった。
まとめ
カナダで留学を経験して、英語が話せるようになること、それ自体が難しいのではなく、間違った順番と方法で勉強していることこそが英語を難しくしている原因なのだと学んだ。
別に年齢が原因なわけでない。
「大人」だって、学ぶ順番と方法を変えれば、ずっと楽に英語を習得することができることを、自分も実際に経験した。