
カナダのバンクーバーはLGBTに寛容な「ゲイフレンドリー」な街だと留学して知った。
バンクーバーを歩いていて「あ、もしかしてあの2人はゲイカップルなのでは?」とピンときたら。
あなたもVancouverite(バンクーバー人)の仲間入りです。
目次
カナダのバンクーバーはLGBTフレンドリー
日本でも昨今話題になることが多く、ある意味「流行」のようになっているLGBTだが、少なくとも私が日本で生活する中で見聞きする「日本語の情報」の範囲内では、否定的というか「タブー」な感じもまだ結構ある。
たしかに「女性的なメイクやファッションや言葉づかい」をする男性芸能人を割と見るし、「男性同士のカップル」がテーマになったドラマが「ブーム」になったりもする。
だけどそれはあくまで「テレビの中の話」であって、「日常生活の中」でLGBTの話題が出ることは、少なくとも私の周りでは・・ほとんどない。
LGBTとは、
- Lesbian(レズビアン・女性同性愛者)
- Gay(ゲイ・男性同性愛者)
- Bisexual(バイセクシュアル・両性愛者)
- Transgender(トランスジェンダー・性別越境者)
の英語の頭文字を合わせた、セクシャルマイノリティの総称のこと。
2005年にヨーロッパ以外では初めて、また世界では4番目に、「同性同士の結婚が合法」となった国でもある。
日本は、2019年の時点で同性同士の結婚は合法にはなっていない。
カナダでゲイパレードを初めて見た

「ゲイ・パレード」は、もともとアメリカでLGBTの権利を求める声の高まりに合わせ、1970年に開催されたのが始まりと言われている。
それが世界各地に広まっていき、バンクーバーでは1978に初開催、日本でも1994年に東京で初めて開催され、それ以来毎年、国内のどこかで開催されている、らしい。
だけど私はカナダでワーホリ留学するまで、「ゲイパレード」というものがあることすら知らなかった。
バンクーバーでは毎年、7月の終わり頃〜8月の頭にかけて、「Vancouver Pride Festival(バンクーバー・プライド・フェスティバル)」というLGBTのお祭りが1週間くらい開催される。
(だからこの週をPride Week((プライド・ウィーク))と言う。)
期間中は、ダウンタウンで「Pride」の名を冠したランニングやウォーキングがあったり、海辺の公園にマーケットが開かれたり、ライブや、ビア・ガーデンがあったりと、色んなイベントがある。
その中でも「Vancouver Pride(バンクーバー・プライド)」というパレードは「目玉イベント」になっていて、この時期にバンクーバーにいる人は、まず耳にするはず。
ちなみにこれらのイベントの参加者は、LGBTの人だけではなく
All are welcome! (みんな大歓迎!)
で、誰でも参加できる。
カナダ留学中ゲイフレンドリーを実感したこと
私はバンクーバーでワーホリ留学を始めた時、初めは現地の語学学校(ESL)に通って英語を勉強していた。
カナダで現地の人と話せなかった頃
現地で出会うのは自分と同じ日本人か、あとは韓国人の留学生・ワーホリメーカーがほとんどだったから、日々の生活の中でこういったカナダの「文化」を意識することは、正直あまりなかった。
人々の考え方や価値観・行動パターン・ライフスタイル・人と人との関係性など。
私は生徒の90%が日本人か韓国人の語学学校(ESL)に通っていた。
これは何も私が通っていた学校に限られる話ではなく、日本人がワーホリや留学でよく行くような都市であれば世界中どこでも同じような状況らしい。
だけど、3ヶ月が経とうという頃になっても、自分が「英語を話せている」と思えない。
悩んでいた時、知り合いからマンツーマンレッスンで英語を教えている先生がいると聞き、その先生のレッスンを受けるようになった。
現地の人と話せるようになってから
カナダで現地の人と英語で話せるようになり、友達ができるようになると、「ゲイフレンドリー」とはどういうことなのかを実感する機会が増えていった。
例えば
自分の母国では、宗教などの問題で同性愛が禁止されていて、発覚すると大変なことになるから。
という理由で「カナダに移住してきた人」の話を聞いたり。
またバンクーバー出身のPhotographer(写真家)の友達は、よく結婚式の写真撮影を頼まれたりしているのだが、その人がSNSにアップする写真を見ていると、見た目が「女性同士」、または「男性同士」のカップルの写真が本当によく出てきたり。
現地人の家での出来事
印象的だったのは、カナダ人の友達の家に遊びに行った時のこと。
普段からうちには近所に住む親戚達がときどき来て一緒にご飯を食べる
と聞いていたその友達の家を訪ねると、すでに親戚の女の子(名前を仮にCarolとする)と、もう1人女の子が来ていた。
カナダでは家族を大事にする人が多く、このように「家族との食事(ファミリー・ディナー)」が「1つのイベント」になっていたりする。
Carolには私は前にも会ったことがあったので、軽く挨拶し、その女の子を紹介してくれた。
カナダの「フレンドリーな文化」では、特に恋愛関係にない友達でも家族に紹介したり、友達に友達を紹介する、ということも、日本よりずっと気軽に行われる。
ああ、Carolも仲の良い友達をディナーに連れてきたんだろうな
と思った。
が、食事が始まってすぐ、近くに座っていた友達のお母さん(Carolにとっては叔母さん)が
She is lesbian.
(彼女はレズビアンなのよ)
と教えてくれた。
というか、私が知らなかっただけでCarolがレズビアンというのはそこにいる人みんなとっくに知っていて、普通に受け入れていた。
私は
家族に対してもこんな風に関係をオープンにできる状況・・。
日本ではちょっと考えられないっていうか、見たことも聞いたこともない。
「文化の違い」だなぁ。
と思ったし、
この、「普通に受け入れている」っていうのが「ゲイフレンドリー」っていうことなんだろうなぁ
とも思った。
実際、カナダにもLGBTに否定的な人はいる
が、実際のところ、カナダでも同性愛などに対して否定的な人というか、「あれ、実は日本よりも『男らしさ・女らしさ』に厳しい・・?」と感じたこともある。
例えば、男性の友達と一緒にショッピングモールに行った時のこと。
ピンク系のTシャツを見かけて、何の気なく

Nooooo…! I’m not gay…! (ノー!僕はゲイじゃない…!)
という反応が返ってきた。
私はそれまで「ピンク系のTシャツを着ている男性=ゲイっぽい」とは考えたことがなかったので、驚いた。
日本でピンクのTシャツを着ている男性を見ても別に「ゲイみたい」とか思わなかったし・・。
カナダでも宗教的な理由などで、LGBTに対して否定的な人はいる。
帰国後、見方が変わっていた
こんな感じで、カナダではLGBTの話題を聞いたり、見かけたり、会ったりすることが日常的にあったので、
う〜ん、日本では(テレビ以外では)同性愛者のカップルを見たことないなぁ
と思っていた。
が、帰国してみると、
東京はとくに外国人が多いため、旅行者らしき同性のカップルを割とよく見かけるし、日本人同士のカップルでも何となく「雰囲気」でわかる。
まとめ
私自身はLGBTではないけれど、LGBTに対して否定的な気持ちももともとない。
またこの「LGBTに関する一面」だけを見て「カナダと日本のどちらが優れている」とか言う気もない。
ただ、カナダで生活することで、
世界にはこういう考え方もあるんだな
と自然に思えるようになっていった。
「英語を勉強する」だけ、「TOEICでハイスコアをとることだけ」なら、日本にいても十分にできる。
だけど、こういう「文化の違い」は、いくら英語の「単語」や「文法」を「暗記」していても、わからない。
ワーホリや語学留学の醍醐味は、海外で生活する中で、いくらネットが発達しても日本で生活していただけではわからない、「考え方や価値観の違い」(=文化の違い)が実感としてわかるようになることにあるのではないだろうか。