
バンクーバーの吊り橋(キャピラノブリッジ)
カナダのバンクーバーでワーホリしていた時、私が通っていた語学学校の生徒の90%以上は韓国人と日本人だった。
だからそこは私にとってカナダ(英語)の「文化:考え方や価値観」を学ぶ場というよりは、「韓国人クラスメイトから韓国の文化を学ぶ場」だった。
そこで私は、韓国人は日本人以上に「年齢」を気にする文化だという事をまず学んだ。
目次
日本より上下関係に厳しい韓国の文化
ある日クラスメイトの韓国人男子2人と一緒に下校していたら、年下の人が去り際、年上の人に向かって、頭を軽く下げるといった程度ではない、「敬礼」と呼びたいくらいの礼をしていた。

韓国では年下なら年上にはああいう礼をしなきゃいけないんだよ。
あいつはいつも俺に礼儀正しいから好感が持てる。
バンクーバーに来た途端に、礼儀がめちゃくちゃになるヤツもたくさんいるからね。
あいつは偉い!
と言うではないか。
私は、
ええ〜・・日本の上下関係の厳しい体育会系の部活みたい・・・
と思った。
なんでも友達によると、韓国語には5種類の敬語があるという。
日本語の敬語といえば「①尊敬語(言う→おっしゃる)」、「②謙譲語(言う→申し上げる)」、「③丁寧語(言う→言います)」の3種類だとたしか高校で習った気がする。
5種類ということは、おそらく日本よりも上下関係に厳しい国なんだろうな・・とその時思った。
「交通機関の中では静かに」は日韓共通?
また別の韓国人の友達と一緒に、放課後バスに乗ってバンクーバー郊外にあるサスペンションブリッジ(吊り橋)に行った時のこと。
バスで隣同士に座り、ふと話しかけようとしたら
しーっ、黙って。バスの中では話しちゃいけないよ。静かにしてて。
と言われた。
たしかに日本でも、電車やバスなどの公共交通機関で大声で話したり携帯で話すのはマナー違反だったことを思い出し、私は少し居心地が悪くなった。
がしかし、たしかにその時点では私たちの周りに話している人は誰もおらず静かだったのだけれど、しばらくしたら電話で大声で話し出す人もいれば、歌を歌い出すグループもいたり(!)して、
みんな全然だまってないけど・・!
と、思った。
きっと韓国も日本と同じように「電車やバスなど公共の場所では静かにすべし」という文化があるのだろう。
でもカナダでは、そんなこと誰も気にしてないのだった。
日本と韓国は距離的にも近いし、歴史的な背景もあり、このように共通する文化は多い。
「カバン」「図書館」「饅頭」などの、日本語と韓国語で発音がかなり似ている言葉も結構あるということも、私はカナダで韓国人の友達から学んだ。
韓国で男子がタバコを吸う理由
バンクーバーでは建物の中でタバコを吸うのが禁止されているので、ダウンタウン(中心街)では語学学校が入っているビルの外でタバコを吸う留学生たちをよく見かけた。
私はその中に「韓国人の男性がやけに多い」と思い、韓国人の友達にそう言ってみたところ、
韓国には兵役があるのを知ってるでしょ? 大体皆そのときにストレスでタバコを吸うようになるんだよ
と言っていた。
なぜ私が彼らが韓国人かどうかが分かるかというと、主にファッションでわかった。
男性の場合はキャップ、ポロシャツに細身のデニム、スポーツブランドの派手め(蛍光色など)スニーカー、それに眼鏡(大体が黒縁)。
女性の場合は日本人女性とあまり変わらないファッションな気がするが、スポーツブランドの派手なスニーカーを履いている確率はやはり高かった。(2012年当時)
「リラックスするためにカナダに来た」韓国人の友達
ニュースなどで知っていたこともあったが、カナダで出会った韓国人の友達から実際に話を聞いて、私は「韓国は日本よりもずっと競争社会」というイメージを受けた。
受験戦争の激しさや、親が子にかける期待は日本の比ではないこと、高校では早朝から学校に行って勉強をはじめ、放課後も塾で深夜まで勉強、勉強、勉強。
教師の力が強くて体罰が堂々とあったり、韓国の大企業と中小企業では給与や福利厚生の格差が激しいので皆キツイと分かっていつつも大企業に殺到する、そして大企業に入れなければ人生終わったも同じと考える風潮があることなどなど・・。
私が語学学校で知り合う日本人は、バンクーバーに来た理由を
英語が話せるようになりたいから
いろいろな国の人と友達になりたいから
と言う人が大半だったけれど、
韓国人の友達の場合は、
英語を勉強するためももちろんあるけど、一番の目的はリラックスするため
と言う人が多かったことを覚えている。
上に書いたことは、あくまで私の友達から聞いたこと、友達を見ていて気がついたことだけれど、彼らと話していて私は
韓国の社会って日本よりもストレスフルなのでは・・
と度々思った。
海外で生活するとき「母国の文化」を手放せない留学生
私の韓国人の友達は、カナダにいてもまるで韓国にいるかのように振る舞うことをよしとしていたが、私も人のことは言えない。
カナダにいても「Hello(こんにちは)」や「Sorry(すみません)」と言いながらお辞儀をしたり、日本的な「遠慮」をあちこちでしていたり、
「Hey」や「Guys」などの「日本人にとってはカジュアルすぎる英語」を自分が話してもいいなんて、考えたことすらなかった。
でもその後、自分が生まれ育った母国から離れて、文化(人々の考え方や価値観・行動パターンなどの暗黙のルール)が異なる海外で生活するときは、自分の母国の「文化」の中で考えたり行動するのではなく、自分が住んでいる国の「文化」中で考えたり行動することが重要だと学んだ。
なぜならそれによって、現地の人から誤解されたりトラブルを起こすことを未然に防いだり、自分が置かれていた状況がずっと楽になったり
もしトラブルが起きても「現地の文化(現地の人々の考え方やルール)」を使って対応することができるから。
まとめ
語学学校(ESL)に3ヶ月通っていた間、日本人や韓国人の友達とばかりいるときは気づかなかったのだが、私は英語を学ぶためにカナダの語学学校に通っていたつもりだったけれど、実質的には私はそこで数ヶ月かけて韓国の「文化(考え方やライフスタイル・ルールなど」)を学んでいたのだなと、今となっては思う。