
海外でセクハラに遭遇する日本人女性は多いがそれを大きな声で言う人は少ないし対処法も全くと言っていいほど知られていない。
そもそも日本ではセクハラに対する意識が薄い為それがセクハラと分からないことすらある。(自分がまさにそうだった)
海外と日本ではセクハラに対する考え方が違う
カナダのバンクーバーでワーホリ留学を始めたばかりの頃。
ダウンタウンを歩いている時、スーパーで買い物をしている時、カフェで並んでいる時・・。
やたら男性から話しかけられるので、
日本人女性ってカナダでえらいモテるんだなあ~・・
と思っていた。
が、日が経つにつれてどうやら日本人女性は、カナダの、とくにCaucasian(白人の)男性から、言葉は悪いが「Easy(簡単)」と思われているようなので気をつけた方がよい、ということが分かるようになっていった。
実録。海外で受けたセクハラ
ある日私はバンクーバーで、日本に関する英語の講演会に参加した。
講演者の一人と私はたまたま席が近く、その人はカナダ人だが「何年も前に日本に住んでいたことがある」ということだった。
帰りがけに
今日は時間がないのでまた今度食事でも一緒にしながらまた話しましょう!
と言われ、後日会うことになった。
その人はかなり年配の白人の男性で、もちろん私にその人とどうこうという気はさらさらない。
さて数日後、ノース・バンクーバーのレストランでまだ外も明るい時間に食事をしたのだが、次第に
何かがおかしい・・
と思い始めた。
というのも、そのじーさんは食事をしながらやたら私の手を触ったり、手の甲にキスしようとしたり、身体に触れようとしてくる。
私は

(すみません、不快なんですけど)
その人は
Oh sorry! I don’t want to do anything you don’t feel comfortable.
(おっと、ごめんね!君が不快に感じることは一切しないよ)
とは言ったものの、それからも何度も私の手を触ろうとしてきた。
とにかくここを何事もなく切り抜ける必要があると考えた私は、その人に自分の肌を触れさせないようにしつつ、強すぎる言葉を言って逆上されたりしたら困るので、どう上手くかわすか頭をフル回転させ、何とか無事に家に帰ることができた。
後味は悪いものの、手を触られたくらいだったので帰宅後そのことについてとくに深くは考えなかったのだが、なんだか釈然としない気持ちは残った。
セクハラをセクハラと認識できなかった自分
その翌日。
私は当時受けていたマンツーマンの英語レッスンで、先生に前日起きたことを話した。(レッスンではいつも自分が話したいことを自由に話せる)
すると先生はショックを受けた様子で、
ちょっと待って、それは完全なるセクハラですよ!
と言う。

でもでも、手をちょっと触られたくらいなんですよ?
Canaさんがそれに対して不快と感じた時点で、それは立派なセクハラです!
あのですね、その人はCanaさんがカナダ育ちの女の子だったら絶対にそんなことしません!!
即訴えられるのが目に見えてますからね!!
と言われ、私はそこで初めて自分の身に起きたことの意味を理解した。
そしてショックを受けるやら腹が立つやらで言葉もなかったのだが、追い討ちをかけるようにその人から
昨日は楽しかった。またご飯にでも行きましょう。
次は君のUnderwear(下着)を見せてね。
という頭のおかしなメッセージが携帯に届いた。
先生はすぐに、どう対応すればよいか詳細なアドバイスをくれ、私はその通りに行動した。
するとその人からのメッセージはピタリと止まり、その後は何も問題は起こらなかった。
先生は私が
I don’t feel comfortable(快適ではない=不快である).
とその人にその場で伝えたことをとても褒めてくれた。
ただ
「Sorry」ではなくて「Excuse me」と言った方が、自分にはまったく非がないということがより明らかになるのでベター
とのことで、
そして、
海外と日本の「女性の権利」
カナダは(日本に比べればずっと)「レディース・ファースト」の文化の国なので、女性の権利というものが強く意識されている。
ある特定の集団における人々の考え方や価値観、習慣、ライフスタイル、そして人と人との関係性のこと。
それに比べ、日本は「メン(Men)・ファースト」文化の国。
女性がセクハラを受けても泣き寝入りすることが多いし、たとえ声を上げても、「逆に女性の方に非があった」と言われたりする。
(もし仮にカナダでそんなこと言う人がいたら、周囲の人から「Jerk=嫌なヤツ・サイテーな人」と呼ばれる。)
そういえば渋谷ハロウィンの騒ぎに関連して、女性タレントが「露出が多い服装をしていた自分にも非がある」といった趣旨の発言をしていたが、日本では「セクハラを受ける方にも非がある」という考えが女性の方にもあることに、海外の人は驚く。
「文化」が違うということは、法律(ルール)が違うということでもあり、日本ではセクハラに対する刑罰もびっくりするくらい軽いが、カナダでは厳罰になる。
世界経済フォーラム(WEF)が世界各国の男女平等の度合いを調査した「ジェンダー・ギャップ指数」(2017年版)でも、日本は114位、カナダは16位である。
・日本経済新聞(2017/11/2)
日本114位、過去最低 世界の男女平等ランキング
・World Economic Forum
The Global Gender Gap Report 2017
(全ランクはPDFでダウンロードできる)
まとめ
日本とカナダでは人々の意識が違うため、つまり「文化」が違うため、カナダでは男性と食事に行って女性がセクハラを受けたとして、女性の方に非があるなんて言う人はいない。
先生はその日家に帰って、自分の奥さん(カナダ生まれのカナダ育ち。私も何度か会ったことがある)に、私が受けたセクハラについて話したところ、彼女は私のことを心配してくれると同時にとても怒って、「直ちに訴えるべきよ!」と言っていたらしい。
これがカナダで生まれ育った人にとっては自然に出てくる発想なのだった。
この一件により私は、自分が生活する国の「文化」を理解するということは、言語が上達するということだけではなくて、自分の身を守ることにもなるのだと強く意識した。
私は大学3年の時にバンクーバーに短期留学をして1ヶ月滞在したのですが、ほぼ同じような目に遭いました…。相手は自称オランダとフランスのハーフで60〜70代くらいのおじさん。初めは友人のような感じでしたが、2、3回顔を合わせるうちに馴れ馴れしくなっていき、身体を触ったりキスをしてくるようになりました。会おうという催促があまりにしつこかったので「授業の課題があって忙しい」とメールしたら、「君は頭がおかしい!僕が何か悪いことでもしたか?」という返信が来たので、メールもSNSも全てブロックして無視しましたが、、あれがセクハラだと認識できたのは帰国してからずっと後です。おそらく、あのおじさんはアジア人の女の子狙いで声をかけてきたのだと思います。今更ながら、キッパリ拒否できなかったのが悔しい。
Akuruさんへ
はじめまして、コメントありがとうございました。
私も思い出すと未だに悔しいです。「セクハラ」という言葉は知っていても、いざ自分の身に起きると認識できなかったっていうのがかなりショックでした。
なので海外に行く前にこういうことがあると知ることができていたら・・と思いこの記事を書きました。
加奈