
語学学校に通うのは無駄と聞くことがあるが実際はどうだろうか。
語学留学したのに思ったほど英語が伸びず後悔したという話もよく聞く。
カナダで留学を始めた頃、自分は英語で「自分に関すること」か「今のこと」しか言えなかった。
「ロボットみたいな英語」しか話せず自分が「5歳くらいの子ども」になった気がしていた。
目次
語学学校は無駄、もったいないと思う理由
カナダで留学(ワーホリ留学)を始めた当初、私は現地の語学学校(ESL)に3ヶ月通っていた。
毎日朝から夕方まで、学校で英語を勉強し、放課後や週末までも図書館に行ったりして、教科書や問題集に文法のワークブックに、単語帳・・。
たしかに学校の「中」であれば
けど授業中もペラペラ喋る南米やヨーロッパ、メキシコなどからの留学生とは仲良くなれない。
学校の「外」で出会うネイティブともまるで話が続かない。
続かないどころか、見下されたような態度を取られたり、
カフェで注文していても、なぜか冷たくあしらわれたり・・。
学校に3ヶ月通ったら、その後は英語を使う仕事がしたい
と思っていたのだが、勇気を出して挑戦した無給のボランティアでさえ、英語力が足りずにすぐクビになった。
海外で語学学校に通って英語を勉強しても、内容自体は日本の学校の英語の授業と変わらない。
クラスメートが10~15人もいる①グループレッスンだから授業内で話すチャンスはなかなかなく、大半の時間は先生の講義を②リスニングし、教材を使って③単語や文法を暗記する「①+②+③=日本式の英語の勉強」で、違うのは授業が全て英語で進むということくらいだった。

だから3ヶ月やそれ以上学校に通っても、英語が「思ったほど話せない」と悩んでいる人にたくさん出会った。
「海外で英語を勉強しても話せるようにならないなんて信じられない」と思う人は、ぜひ「ワーホリ 失敗」や「留学 失敗」でググってみてほしい。
英語で「スピーキングができる」ということ
その日のマンツーマンレッスンで、私は語学学校(ESL)で英語を勉強した後、バンクーバーでボランティアに応募したものの、ネイティブのスタッフと英語で上手くコミュニケーションができず、早々にクビになったという話を先生にしていた。



どちらも「話すこと」に関係していますよね?

私がカナダでワーホリ留学中にマンツーマンのレッスンプログラムで英語を習った先生は、オーストラリアのメルボルン大学でLinguistic Science(言語教育科学)という学問を修め、言語学の2つの学位を取得した英語学習の専門家で、
①Applied Linguistic Science with the specialty of Methodology of Teaching Foreigner Languages (応用言語教育科学 外国語教育方法論):母国語と同等か、それに近いレベルに短期間で外国語でも到達するための教育法。 ②Psycho-Linguistic(心理言語学):人がとくに新しい言語を習得する際の心理的葛藤(カルチャーショックやホームシックなど)や、言語の認知処理等、言語と心理的な側面を結びつきを研究する学問。 |
大学で学んだことを基に、通常はカナダやアメリカなどの主に多民族国家で、子どもを対象に行われているイマージョン・プログラム(Wikipedia)を応用して「大人が短期間で外国語を習得するための学習法」を開発し、教えている。
だからこの英語の勉強の仕方は、先生のレッスン以外では学ぶことができず、レッスンは「暗記なし・教材なし・宿題なし」で英語を「経験」して「慣れ」ながらスピーキングを伸ばすことにフォーカスした内容になっていた。
- 英語の「暗記」ではなく「話すこと」を重視した英語学習プログラム」
と
- ワーキングホリデーや留学の「サポート」
が1つになった『留学エージェント』をカナダに設立。
当時は先生が1人で教えていたが、今は複数の先生方がいて、カナダ(バンクーバー)だけでなく、オーストラリア(シドニー)やフィリピン(セブ島)での「現地レッスン」、さらにSkypeを使って世界中どこからでもレッスンが受けられるようになっている。
また先生自身は英語・日本語・中国語・スペイン語・ロシア語・ポーランド語の6カ国語を話すマルチリンガルで、母国語である英語以外はすべて自身が確立した学習法を使って習得したということだった。
大学時代に「文部科学省奨学金留学生」として筑波大学で交換留学していたこともあるため、日本の文化にもかなり詳しく、大学卒業後に早稲田大学や東京外国語大学で言語教育の講演をしたこともあるらしい。

留学して知った「コミュニケーション」と「スピーキング」の違い
私はそれまで「コミュニケーション」と「スピーキング」の違いなんて考えたことがなかった。

ですので、動物や虫だって「コミュニケーション」をしています。
アリは触覚を使って相手が敵か味方かを判別したり、サルは毛づくろいによって親愛の情を伝えている、と言われています。
一方、「スピーキング」は人間だけができるもので、もっと長くて複雑で、洗練されています。
人間は「今そこに見えていること」だけでなく、目で見ることができない「抽象的な概念」や「理論」について説明したり、「自分のこと」だけではなく「第三者」に関する複雑な気持ちや感情も表現することができますよね。
この「スピーキング」ができるということが、人間がほかの動物とは決定的に違う点とも言えます。

語学学校で話していた英語は「コミュニケーション」
先生から説明を聞いた後、私はしばらく考えた。

文章と文章の間がとぎれとぎれになるからロボットみたいで、何かが不自然・・と感じていました。
今思うとそれって、私は英語で「コミュニケーション」はしていたけど、「スピーキング」はできていなかった、ということになるんでしょうか?

(良いところに気がつきましたね)
思えば、私がマンツーマンの英語レッスンを受ける前(カナダで語学学校に通っていた頃)に話していたのは、下のような英語だった。
(私はあなたが来るのを今待ってるよ)
・Where are you NOW?
(あなたは今どこにいるの?)
・I study English NOW.
(私は今英語を勉強してる)
・For ME next Friday is ok.
(私は次の金曜でokだよ)
・She told ME I can go to Stanley park.
(彼女が私にスタンレーパークに行っていいと言った)
・He said to ME I should not talk to homeless people.
(彼が私にホームレスの人たちに話しかけるべきではないと言った)
見事に、「今」または「自分」に関することに限られていた。
そしてだからこそ、英語を話す時だけ不自然な、「ロボットみたい」な話し方をしていると自分で感じていたし、なぜか「小さな子ども」になったような気がしていたのだな、と気がついた。
バンクーバーの語学学校で習えなかったこと

それに「自分」について話せることはもちろん重要ですが、「友達」や「家族」や「恋人」について話したいこともあると思いますし、「大統領」や「名前も知らない、道で通りすがっただけの人」について話したいことも、当然あると思います。
さらに母国語(日本語)で話すときは、それらの話題をバラバラにではなく、1つの話題のなかで何個もつなげて話したりしていると思います。
だからこそ、ふだん日本語で話すときは、(英語で話す時よりも)もっと長くて、複雑で、洗練されているはずです。
いつも日本語では考えるまでも無くそうしているように、英語でも自分が話したいことを自由に話せるようになるためには、まず英語の「文法」の「使い方」を理解することと、大人のネイティブみたいな話し方をするための「英語の話しことば」が必須なのです。

たしかに学校ではそういうことは教えてもらえなかったですし、私はここでそれらを習うようになって初めて、自分の英語が変わってきたと思えるようになりました。
レッスンを受け始めた頃は、英語を話すとき、自分は5歳くらいになったような気がしていたのですが、今はTeenager(10代)くらいにはなってきたと感じます

Canaさんもレッスンを全て終える頃には、英語でも自分の本来の年齢を感じられるようになっているはずです。

伸びたのはスピーキングだけじゃなかった
そのマンツーマンレッスンでは、「日本の学校」や「語学学校」の授業とは違い、英語の「単語」や「文法」だけでなく
英語の「文化」をはじめ、
人々の考え方や価値観・行動パターン・ライフスタイル・人と人との関係性など。
ネイティブみたいに自然で大人っぽい英語を話すための「英語の話しことば」
世界中のどの言語にも共通して存在しているが、教科書にも辞書にも書いてなく、学校や親から教えられることもない。こどもから大人へと成長する過程で、周囲の人々の会話を見聞きする中で自然に学び、いつのまにか意識することもなくしている「話し方のパターン」のこと。
例えば次に何を言うべきか考えながら日本語で「ええと・・」と言ったりするが、英語でも同様に「 Well..」と言ったりする。
普通の「英会話レッスン」や「マンツーマンレッスン」でよくあるような、先生が一方的に英語で話すのを「リスニング」するのではなく、
すると、語学学校に通ったのと同じ3ヶ月で今度は現地の人と楽しくおしゃべりしたり、ネイティブの友達ができたり、
あなたの英語は日本人ぽくない
と言われたりするようになっていた。
だから私は帰国後、英語「で」勉強することはあっても、英語「を」勉強したことはない。
それでも帰国してしばらくして受けたTOEICではほぼ満点の970点が取れた。

まとめ
バンクーバーでワーホリ留学するまで知らなかったのだが、「コミュニケーション」と「スピーキング」には明確な違いがあった。
- コミュニケーション =「今」または「自分」に関すること(動物もコミュニケーションはしている)
- スピーキング =コミュニケーションよりもっと長くて複雑で、洗練されている(人間にしかできない)
そして、語学学校では「コミュニケーション」は学べても「スピーキング」は学べなかった。
学校に通って英語の単語や文法や、イディオムや英語フレーズだけをひたすら「暗記」していた時には、英語を話そうとすると急に自分が「小さな子ども」になったような気がしたり、自分の英語が「ロボット」みたいで不自然だと感じていた。
でも英語を「暗記」することなく、「英語の文法を日本語と同じように使う方法」や、大人のネイティブみたいな話し方をするための「英語の話しことば」を学ぶようになってからは、英語でも自分の考えや気持ち・話したいことを自由に表現でき、「ロボットみたいな英語を話している」とは思わなくなったし、英語を話すときでも自分の本来の年齢を感じられるようになっていた。