
カナダワーホリで仕事ができる英語力とは。
渡航前ネットで情報収集していたらよく「この仕事をするにはTOEIC◯◯点必要!」と書いてあり全然足りなくて焦った。
でも実際ワーホリを始めるとTOEICを気にしているのはアジア人だけで現地でバイトする時必要とされるのはペーパーテストとは全然別の「英語力」だった。
目次
カナダでワーホリの英語力と仕事は直結すると実感
カナダのバンクーバーでワーホリ留学する中で感じたのは
留学やワーホリで来ている日本人を積極的に雇いたい
という地元のお店や飲食店・企業はわりとある、ということ。
たとえば日本人の友達の1人が働いていたカフェの、カナダ人オーナーは
他の国からの留学生に比べて日本人は真面目に働いてくれるからなるべく日本人を雇いたい。
と言っていた。
たしかに「運」というのもあるかもしれない。
でもそういう、自分の力ではどうにもできない要因の他に、私はこの二者の間には歴然とした「違い」があるように思った。
日本人留学生やワーホリメーカーが英語を使っての仕事探しに苦労する理由は、そもそも英語のスピーキングが弱く、仕事をするレベルに達している人が相対的に見てあまりいないということもあるが、
日本と海外の「文化の違い」を見落としていることにも大きな原因があるのではないだろうか。
ある特定の集団における人々の考え方や価値観、行動パターン、ライフスタイル、そして人と人との関係性のこと。
TOEICと仕事するための英語力は無関係と知る
カナダでは最初の数ヶ月、英語を勉強すれば仕事ができるレベルになるはず・・
そう思ってバンクーバーでワーホリを始めた私は、語学学校(ESL)で3ヶ月間、毎日朝から夕方まで英語を勉強した。
だけど3ヶ月がたとうというのに、自分が「英語を話せている」という気がしなかった。
たしかに学校の「中」であれば、
また学校では毎週金曜に、その週に習ったことをどれだけ覚えているかを確かめる「テスト」があり、毎日無遅刻無欠席で授業に出席し、予習・復習までしていた私はいつもだいたい高得点を取れていた。
とはいえ、お金を払えば誰でも入れる語学学校のテストは、採点も甘々だったが・・
学校の「外」で出会うネイティブともまるで話が続かない。
続かないどころか、見下されたような態度を取られたり、
カフェで注文していても、なぜか冷たくあしらわれたり・・。
学校に3ヶ月通ったら、その後は英語を使う仕事がしたい!
と思っていたのだが、勇気を出して挑戦した無給のボランティアでさえ、英語力が足りずにすぐクビになった。
海外で語学学校に通って英語を勉強しても、内容自体は日本の学校の英語の授業と変わらない。
クラスメートが10~15人もいる①グループレッスンだから授業内で話すチャンスはなかなかなく、大半の時間は先生の講義を②リスニングし、教材を使って③単語や文法を暗記する「①+②+③=日本式の英語学習」で、違うのは授業が全て英語で進むということくらいだった。

だから3ヶ月やそれ以上学校に通っても、英語が「思ったほど話せない」と悩んでいる人にたくさん出会った。
「海外で英語を勉強しても話せるようにならないなんて信じられない」と思う人は、ぜひ「ワーホリ 失敗」や「留学 失敗」でググってみてほしい。
そのマンツーマンレッスンはいつもカフェで受けていて、その日は



YOU GUYS(ユーガイズ)
GUYS(ガイズ)
という、2人以上の人に呼びかける時に使う言葉がありますね。
私は英語が母国語ではない人に長年英語を教えているのですが、日本人の留学生が「GUYS」と言ってるのを聞いたことがないです。
英語で「GUYS」が言えますか?

なんか「GUYS」ってカジュアルな言葉というか、スラング?なイメージがあります。

Canaさんは「英語が話せるようになりたい」と言っていましたよね?
英語の文化の中では、「GUYS」と言ったって全然いいんですよ
と、そこでいったん話が終わり、

学校の「教室での授業」とは違い、そのマンツーマンレッスンではレッスン中に何か飲んだり食べたりしても全然OKだった。

ついでに注文する時に、GUYSを使ってくださいね
私は「GUYS」 をネイティブがよく使っているということを知ってはいても、自分も使ってみようとはその時まで思ってもいなかった。
なれなれしいのではないか?
失礼なのではないか??
調子に乗ってるとか思われるんじゃないか???
「常に礼儀正しいはずの、日本人である自分」が、GUYSなんていう「カジュアルな言葉」を使うなんて・・・。
正直、抵抗を感じた。
でも先生は

カウンターの方を見ると、そこには白髪の60代くらいと見られる男性が立っていて、ただでさえ「GUYS」を言うのに抵抗があるのに、年配の人に向かって言うなんて・・とさらに気が引けたが、

GUYSと言っても失礼ではありません
そこで私はしょうがないから腹を決めてカウンターへ行き、おそるおそる

(ミルクはありますか?)
するとその白髪の男性は、
Yea, sure. (ありますよ)
と笑顔で返事をしてくれた。
私はホッとして、しばらくその人と雑談を楽しむことができた。
「お客様は神様」な日本と違い、カナダは店員と客の立場もずっと対等。
さらにフレンドリーな「文化」があるので、カフェのカウンターやスーパーのレジなどでも、後ろに行列ができているにも関わらず店員と客が談笑しているのもよく見る光景。
私がカナダでワーホリ留学中にマンツーマンレッスンで英語を習った先生は、オーストラリアのメルボルン大学でLinguistic Science(言語教育科学)という学問を修め、言語学の2つの学位を取得した英語学習の専門家で、
①Applied Linguistic Science with the specialty of Methodology of Teaching Foreigner Languages (応用言語教育科学 外国語教育方法論):母国語と同等か、それに近いレベルに短期間で外国語でも到達するための教育法。 ②Psycho-Linguistic(心理言語学):人がとくに新しい言語を習得する際の心理的葛藤(カルチャーショックやホームシックなど)や、言語の認知処理等、言語と心理的な側面を結びつきを研究する学問。 |
大学で学んだことを基に、通常はカナダやアメリカなどの主に多民族国家で、子どもを対象に行われているイマージョン・プログラム(Wikipedia)を応用して「大人が短期間で外国語を習得するための学習法」を開発し、教えている。
だからこの英語の勉強の仕方は、先生のレッスン以外では学ぶことができず、レッスンは「暗記なし・教材なし・宿題なし」で英語を「経験」して「慣れ」ながらスピーキングを伸ばすことにフォーカスした内容になっていた。
- 英語の「暗記」ではなく「話すこと」を重視した英語学習プログラム」
と
- ワーキングホリデーや留学の「サポート」
が1つになった『留学エージェント』をカナダに設立。
当時は先生が1人で教えていたが、今は複数の先生方がいて、カナダ(バンクーバー)だけでなく、オーストラリア(シドニー)やフィリピン(セブ島)での「現地レッスン」、さらにSkypeを使って世界中どこからでもレッスンが受けられるようになっている。
また先生自身は英語・日本語・中国語・スペイン語・ロシア語・ポーランド語の6カ国語を話すマルチリンガルで、母国語である英語以外はすべて自身が確立した学習法を使って習得したということだった。
大学時代に「文部科学省奨学金留学生」として筑波大学で交換留学していたこともあるため、日本の文化にもかなり詳しく、大学卒業後に早稲田大学や東京外国語大学で言語教育の講演をしたこともあるらしい。

ワーホリで英語の面接でも使える「GUYS」
こうして私は、「GUYS」は失礼な言葉でも場にそぐわないカジュアルすぎる言葉でもないということを、身を持って実感した。
だからそれから私は、相手が年上であろうが年下であろうが「GUYS」を頻繁に使うようになっていった。
また先生からは、「GUYS」を「Job interview(仕事の面接)」でも必ず使うように、との助言をもらった。

ただしGUYSさえ言えば採用されるというわけではない。言うまでもなく・・
カナダワーホリでバイトをする時求められていること
カナダで仕事を探す日本人に「英語の文化」を理解していることが求められるのは、日本で仕事を探すカナダ人(外国人)には、日本語の文化を理解していることが求められるのと同じである。
だって、
「日本語の文化」の中で働くのにも関わらず、日本語で求められる「礼儀正しさ」を理解できない「ガイジン留学生」は、いくら発音が上手でペーパーテストのスコアが高かろうが、横柄な態度と言葉づかいしかできない失礼な人だと思われ、敬遠されることと思う。
カナダでも色々な求人情報を見たけど、TOEICに言及している企業の募集要項なんてなかった(日本人が多い職場なら書いてあるかもしれない)し、面接でTOEICの点数を聞かれたことも一度もない。
そもそも(アジア人留学生に慣れている人以外の)現地の人には「TOEICって何??」とすら言われた。
ワーホリして初めて知ったのだが、スピーキングよりも読み書きの比重が高いTOEIC試験は、アジア圏の国では重視されていても、英語圏の国では重視されていない。
だから現地の大学への留学や移住の際に問われる英語試験はTOEFL、IELTS、ケンブリッジ英語力検定試験などであり、TOEICは含まれていない。
まとめ
ワーホリで海外に行く日本人が現地で英語を使って働くということは、「英語の文化(考え方や価値観)」の中で働くということ。
いくら英語のテストで高得点が取れても、TOEICのスコアが良くても、それが「英語の文化」を理解していることを意味するわけでも、ワーホリで英語を使う仕事ができると保証されるわけでもない。
なぜなら「英語の文化」は、ペーパーテストで良い点を取るための勉強では、学べないから。