
カナダ・バンクーバーのスタンレーパーク
カナダで受けたカルチャーショック、それは(日本に比べると)カナダはずっとレディスファーストの文化ということ。
日本人女性が「日本で期待されるのと同じレベル」で周囲に気を使っていると現地の人から驚かれる。
例えば日本では大皿の料理を取り分けたりお酒を注ぐのは「女性の役割」かもしれない。でもカナダでは「男性の役割」だった。
目次
カナダ人の友達ができてから受けたカルチャーショック
カナダのバンクーバーでワーホリを始め、語学学校(ESL)に3ヶ月通ったものの、自分で自分が「英語を話せている」という気がしなかった。
海外で語学学校に通って英語を勉強しても、内容自体は日本の学校の英語の授業と大して変わらない。
クラスメートが10~15人もいるから授業内で話すチャンスがなかなかなく、授業時間の大半は先生の講義を聞き、教材を使って単語や文法を暗記する「日本式の英語の勉強」で、違うのは、先生がネイティブで授業が全て英語で進むということくらいだった。
「海外で英語を勉強しても話せるようにならないなんて信じられない」と思う人は、ぜひ「ワーホリ 失敗」や「留学 失敗」でググってみてほしい 。
それで悩んでいたところ、知り合いから聞いてマンツーマンの英語レッスンを受けるようになった。
するとそのレッスンでは学校とは違い英語の「文化(人々の考え方や価値観、行動パターン、ライフスタイル、そして人と人との関係性など)」も学ぶことができ、それによって私には徐々に現地の友達ができるようになっていた。
レストランで食事するとき
その日は、カナダ人と日本人の友達でダウンタウンにあるタイレストランにディナーに行った。
皆であれこれ言いながらメニューを見て、ひとまず各自が一品ずつ選び、他にサラダと前菜をいくつかオーダーすることに決まった。
そこでServer(サーバー:食事を運ぶ人のこと)を呼び、数分して、まず最初に大皿に入ったサラダが運ばれてき、席の真ん中近くに座っていた私の前に置かれた。
私は「サラダを取り分けてあげよう」と思い、小皿とフォークを引き寄せた、その時。
隣に座っていたカナダ人男性の友達が
(そのフォーク)かして? 僕がやるよ。Ladies first(レディースファースト)だからね。
と言って、全員分のサラダを取り分け始めたのである。
こういったときには、女性が「気を利かせて」料理を取り分けるものとばかり思っていた私は戸惑い、

No No (いいから、いいから)
と言われた。
さらに料理は先に女性から渡してくれるので、最後の男性の分が配られるまで食べるのを待っていたら、
先に食べてていいよ。Ladies first!
と笑顔でまた言われ、私はカルチャーショックを受けた。
パブでビールを飲むとき
また別の日、別のメンバーでパブに行き、大きなピッチャーでビールを頼んだ時のこと。
今度も運ばれてきたピッチャーのすぐ前に座っていた私は、「皆のグラスにビールを注いであげよう」と思い、ピッチャーに手を伸ばした。
するとやっぱり、カナダ人男性のうちの一人が、
(そのピッチャー)ちょうだい
と言って、彼が全員にビールを注いで渡してくれた。
ピッチャーの場合は別だが、カナダでは基本的に「お酌」という文化はないので2杯目以降は各自が自由に自分のタイミングで好きな酒を飲む。
ただし、たとえカナダのレストランやパブにいようとも、日本人同士で来ていると思われるグループの場合は、やはり女性が料理を取り分けたりお酒を注いでいるのを度々見かけた。
そんな時私は、カナダの中にある「小さな日本」を感じた。
他にもいろいろ、
ああ、私は日本ではこれを当然のように自分がやっていたけど、カナダではしなくていいんだなぁ
と思ったことが、何度もある。
- 男性と女性が店や家に一緒に入ろうとするときは、男性がドアを開けてくれる
- 車の運転席に男性が座る場合、女性が助手席に乗り込むときは男性がドアを開けてくれる
- エレベーターに男性と女性が乗り合わせたら、ドア開閉のボタンを押したり、最後にエレベータを降りるのも、多くの場合が男性
- 女性が重い荷物を持っていたら、頼まなくても男性が持ってくれる。
などなど。
日本人女性は海外で大人気である一方、「日本人男性が好き」という外国人女性には滅多に出会わない。
実際、バンクーバーで「カナダ人の彼氏と日本人の彼女」という組み合わせのカップルはめちゃくちゃよく見たが、逆の組み合わせは数えるほどしか見たことがない。
私はその理由の一端は、こんなところにもあるのでは・・と思った。
カナダで初めて学んだ「レディースファースト」の意味
ディナーの次の日、マンツーマンの英語レッスンで、私は早速その話を先生にした。
レッスンでは毎回テーマなどは決まっておらず、自分が話したいことだけを、レッスンで習う「ネイティブみたいに自然で大人っぽい英語を話すための英語の話しことば」などを使いながら、しゃべることができた。
すると

まず聞いてみたいのですが、Canaさんは「Ladies first」の意味を知っていますか?
私は「レディースファースト」の意味などそれまで考えたことがなかったので、

すると

「Ladies first」というのは、「Take care of Ladies」ということです


ちなみにヨーロッパはカナダよりもっとずっとLadies firstですよ。
もしここでLadies firstと感じるなら、Canaさんはヨーロッパに行ったら自分はお姫様みたいに感じると思いますよ!
日本はレディースファーストどころか「メンファースト」
さらに、学生時代に日本に留学していたことがあり、日本語もペラペラかつ日本の文化も良く知っている先生は

私がカナダでワーホリ中にマンツーマンレッスンで英語を習った先生は、オーストラリアのメルボルン大学でLinguistic Science(言語教育科学)という学問を修め、言語学の2つの学位を取得した英語学習の専門家で、
①Applied Linguistic Science with the specialty of Methodology of Teaching Foreigner Languages (応用言語教育科学 外国語教育方法論):母国語と同等か、それに近いレベルに短期間で外国語でも到達するための教育法。 ②Psycho-Linguistic(心理言語学):人がとくに新しい言語を習得する際の心理的葛藤(カルチャーショックやホームシックなど)や、言語の認知処理等、言語と心理的な側面を結びつきを研究する学問。 |
大学で学んだことを基に、通常はカナダやアメリカなどの主に多民族国家で、子どもを対象に行われているイマージョン・プログラム(Wikipedia)を応用して「大人が短期間で外国語を習得するための学習法」を開発し、教えている。
だからこの英語の勉強の仕方は、先生のレッスン以外では学ぶことができない。
先生は英語・日本語・中国語・スペイン語・ロシア語・ポーランド語の6カ国語を話すマルチリンガルで、母国語である英語以外はすべて自身が確立した学習法を使って習得したとのことだった。

しかし考えてみると、たしかに日本では女性が店のドアを開けることがよくあるし、エレベーターのボタンを率先して押すのも女性だし、料理を取り分けるのもまず女性だし、酒の席でお酌をするのも「女性の役割」という空気がある。(そしてもし女性がこれをしない場合、「気が利かない女」という烙印を押されること必至。)
日本で生まれて20年以上暮らしてきた自分にとっては、それが「当たり前」すぎてほとんど意識することもなかったが、言われてみればたしかに日本は「メンファースト(男性優位)≠ 男尊女卑」の社会なのだった。
世界経済フォーラム(WEF)が、世界各国の男女平等の度合いを調査した「ジェンダー・ギャップ指数」(2017年版)でも、日本は114位。一方、カナダは16位である。
・日本経済新聞(2017/11/2)
日本114位、過去最低 世界の男女平等ランキング
・World Economic Forum
The Global Gender Gap Report 2017
(全ランクはPDFでダウンロードできる)
まとめ
日本では、大皿の料理を取り分けたりお酒を注ぐことは「女性の役割」かもしれない。
でもカナダでは男性が率先してそれをしていた。
もしカナダに行って、とくに男性が「女性が料理を取り分けたり男性にお酒を注ぐのが当たり前」だと思っていると、驚かれるどころか大きな反感を買うことさえある。
自分にとっての「常識」は、場所が違えば「非常識」になる。
私はカナダでワーホリ留学する中でそんなことを学んだ。