
日本人は「語学(英語)が苦手・嫌い」と言う人が多く「英語下手すぎ」「特にスピーキングがダメ」とか海外でも言われている。
カナダ留学した時、日本人含むアジア人は語学学校の授業中も発言が少ないのに対し、ヨーロッパやメキシコ・南米の人達は気軽に発言するのに驚いた。
自分は日本で中学高校の6年以上英語を勉強してきたのに全然話せない。この違いはどこから来るのか?と思った。
目次
日本人(アジア人)が英語苦手・嫌いで下手と言われる理由
カナダ・バンクーバーでワーホリ留学していた時、通っていた語学学校(ESL)の日本人のクラスメートがよく
日本語と英語は「文法」も「単語」も「発音」も、全然違って難しい。だから苦手/嫌い
だと言っていた。
対して、ヨーロッパやメキシコ・南米の人の言語(スペイン語やフランス語やポルトガル語など)は、英語と同じ「ラテン語」を語源にしていることもあって共通点が多い。
だから彼らはペラペラ話せるんだろうなぁ・・と、当時の私は思っていた。
でもその後、たしかにそれは1つの原因ではあるが、日本と、ヨーロッパやメキシコ・南米の国々とでは、そもそも勉強の仕方や、考え方(マインド)が違うということがわかっていった。
語学学校に行けばいろんな国の学生と知り合える・・と思うかもしれないが、私が通っていたバンクーバーの語学学校の生徒の90%は日本人と韓国人だった。
そのためカナダにいても、教室にいる全員が日本人だけor日本人と韓国人だけということも多々あり、ヨーロッパやメキシコ・南米からの留学生とクラスが一緒になるのは「たまに」だった。
これは何もバンクーバーだけでなく、「日本人がワーホリや留学で行くような大きな都市」ではだいたい同じような状況らしい。
ちなみにメキシコは南米だと言う人もいるが、地理上はカナダやアメリカと同じ「北米」である。
「スピーキングは得意で文法は苦手」な非アジア人
カナダの語学学校での授業中、(自分を含めて)日本人や韓国人(=アジア人)の留学生は、たいてい授業中も静かに先生の話を聞いている。
でもヨーロッパやメキシコ・南米からの留学生は、先生の話をさえぎって急に自分の話を始めたり、遠慮なく質問をしたりしていた。
かといってアジア人留学生は質問がないのかというとそうではなく、授業が終わった後に先生の所まで行って質問をするのだった。

すると
う~ん、私はスピーキングは得意なんだけど、文法が苦手だから。
一回ちゃんと勉強しなくちゃと思ってた。
と言う。
その頃、いつも一緒にいた日本人や韓国人のクラスメート達からは
スピーキングは苦手で、文法はまぁそれに比べればマシ
とか
スピーキングは苦手で、文法も苦手
という言葉しか聞いたことがなかった私には、彼女の言葉は衝撃だった。
「スピーキングは得意だけど」なんて・・
一度でいいから言ってみたい!
と思った。
日本と「南米・ヨーロッパ」の英語教育の違い
日本や韓国からの留学生も、南米やヨーロッパからの留学生もカナダでは同じ語学学校の、同じ教室で、同じように英語を「勉強」する。
だけど「それぞれ母国で受けてきた英語教育」は、同じではない。
①読み書き(暗記)重視 VSコミュニケーション重視
語学学校では、まず入学時にレベル分けのテストというものが大体ある。
「日本人や韓国人(アジア人)の留学生」は、母国で長年かけて「英語の読み書きが中心の勉強」をしてきている。
韓国の学校における英語教育については、学校のクラスメイトやホームスティでのルームメイトだった韓国人留学生などからよく聞いた。結論として、日本と韓国の英語教育はよく似ていると感じた。
反対に、「ヨーロッパやメキシコ・南米からの留学生」は、母国でもっと「英語を使ってコミュニケーションする勉強」をしてきているので、スピーキングのテストでは高得点を取りやすい。
が、反対に「ペーパーテスト」では低い点数を取りがち。
そのため「アジア人留学生」と、「ヨーロッパやメキシコ・南米からの留学生」とでは、英語の得意・不得意分野が異なる傾向がある。
もともと語学学校における生徒の割合は「ヨーロッパやメキシコ・南米人の留学生」が少ない上に、アジア人とは英語の得意・不得意分野が異なる。
だからこそ語学学校でも同じクラスになりにくい、というのが自分が3ヶ月通って知ったことだった。
なおカナダでは、フィリピンやマレーシア、シンガポール、インド出身の人々とも出会った。
そういう「英語が公用語の一つとなっている国」から来た人達は、同じアジア人でも日本人や韓国人よりもずっと流暢に英語を話していた。
それは歴史的な背景もあって、母国で受けてきた教育が違うからであり、だから彼らはカナダでは「語学学校」ではなく、現地の高校や大学に通っていた。
②減点主義 VS 加点主義
ただし始めのうちはただ
ペラペラですごい!
としか思っていなかった「ヨーロッパやメキシコ・南米人の留学生」の英語だったが、時間が経つにつれて実はけっこう発音が違っていたり、文法や単語のミスが多いということが私にもわかってきた。
でもたとえ文法や単語がめちゃくちゃだろうが、発音がなまっていようが、彼らはそんなこと気にせず、堂々と話しているように見えた。
それはなぜなら、日本の学校では、少しでもミスをすると点がもらえない「減点方式」の勉強だが、彼らは「加点方式」の勉強だから。
どういうことかというと、例えば日本では
1+5=□
という問題形式が好まれる。
この場合、答えは「6」のただ1つだけで、それ以外の答えは全て「×」になる。
そういう勉強を何年もしていると、いつの間にか
↓
ミスをしてはいけない
↓
完璧な英語を話さなければならない
しかもミスをしてはいけないのだから、それは「話すのが怖い」と思うようにもなっていく。
□+□=6
という問題が好まれる。
ここで□に入るのは「1 と 5」でも良いし、「2 と 4」でも、「3 と 3」でも良い。
どれを書いても点がもらえ、最初から「1つの答えだけが正解」なんていう考え方はしていない。
③日本の「完璧文化」と「恥文化」
これは上の「減点方式」の勉強とも通じるものがあるのだが、日本には「完璧文化」・「恥文化」とでも言えるものがある。
カナダで驚いたのは、南米やヨーロッパからの留学生達は、日本人のように英語でミスすることを恐れていないし、「完璧な英語を話さなければならない」なんて、思ってもいないということ(もちろん個人差はあると思うけれど)。
これらが、彼らがカナダに着いた時点で、既にけっこう英語を話せていることが多い理由だった。
日本の英語教育はとにかくマジメに勉強=暗記!
ここでちょっと考えてみてほしいのだが、自分がまだ小学校にも入ってない子どもだった頃、「発音や文法が合っているか」なんて気にしながら日本語をしゃべっていただろうか?
「日本語の単語を1つでも多くおぼえなくては!」なんて、思っていただろうか?
私はカナダで語学学校(ESL)に通って英語を勉強していた頃、「英語を話せている」という感覚がないことに悩み、学校のカウンセラーさんなど何人かに相談もしたが、
とにかく努力して、勉強すればするほど英語は話せるようになりますから、頑張ってください!
と言われた。
だけど、カナダのバンクーバーで3ヶ月間、毎日朝から夕方まで英語を勉強し、放課後や週末さえ使って英語を勉強したのに「自分が英語を話せている」とは思えない。
これ以上「努力を!」と言われても・・どうしたら良いのか本当にわからなかった。
それはたしかに、学校の「中」であれば「留学生の英語に慣れているネイティブの先生」や「自分と似たような発音や文法のミスをする日本人や韓国人の留学生」と話せるし、友達にもなれた。
けど学校を一歩「外」に出ると、ネイティブとはまるで話が続かない。
続かないどころか、見下されたような態度を取られたり、
無給のボランティアでさえ、英語力が足りずにすぐクビになった。
毎日毎日、時間をかけて「おぼえた」はずの単語も文法も、実際の会話の中では自分の口から出てこないし、こんなに勉強しても話せるようになっていかないのは頭が悪いからなのか、才能がないからなのか?と、英語が話せない自分にイライラしたり、落ち込んだり。
当時は
自分が英語が話せるようになる日など本当に来るんだろうか??
とよく不安に思っていた。
海外で語学学校に通って英語を勉強しても、内容自体は日本の学校の英語の授業と変わらない。
クラスメートが10~15人もいる①グループレッスンだから授業内で話すチャンスはなかなかなく、大半の時間は先生の講義を②リスニングし、教材を使って③単語や文法を暗記する「①+②+③=日本式の英語の勉強」で、違うのは授業が全て英語で進むということくらいだった。

だから3ヶ月やそれ以上学校に通っても、英語が「思ったほど話せない」と悩んでいる人にたくさん出会った。
「海外で英語を勉強しても話せるようにならないなんて信じられない」と思う人は、ぜひ「ワーホリ 失敗」や「留学 失敗」でググってみてほしい。
日本人でも勉強方法を変えれば英語は話せる!
その後、マンツーマンの英語レッスンプログラムを受けるようになってわかったことは、どんなに「日本式の英語学習(=減点方式でひたすら単語と文法の暗記)」を頑張ったところで、それだけで英語が話せるようになっていくのは途方もなく難しい、ということだった。
その証拠に、日本では中学・高校と6年もかけて「英語の単語と文法の暗記」をするけど、それで話せるようになる人なんて1人もいない。
それでも周囲の人が言うままにカナダでも「日本式の英語学習」をくり返してしまったのは、他にどうしたらよいのかがわからなかったから・・。
どうやったら英語が話せるようになるのか、ネットや本や雑誌、もちろん人にも聞いたりして、たくさんの情報に接して方法を探したつもりではあったけど、それでも当時の私には「日本式の英語学習」以外の方法があるとは、わからなかった。
今の私であれば、「日本式の英語学習」以外の方法があることもわかるし、英語が話せるように必要なのは「頭のよしあし」でもなければ、「才能の有無」でもないということも、わかる。
もし英語が話せるようになりたかったから、「日本式の英語学習(=減点方式&とにかく暗記!)」を止めること。
そして、英語の文化や、発音や、ネイティブのような自然で大人っぽい英語を話すための「英語の話しことば」を学び始めること。
私もカナダで英語を笑われたことはあるが、そんな人はスルーすれば良い。
私がカナダでワーホリ留学中にマンツーマンレッスンで英語を習った先生は、オーストラリアのメルボルン大学でLinguistic Science(言語教育科学)という学問を修め、言語学の2つの学位を取得した英語学習の専門家で、
①Applied Linguistic Science with the specialty of Methodology of Teaching Foreigner Languages (応用言語教育科学 外国語教育方法論):母国語と同等か、それに近いレベルに短期間で外国語でも到達するための教育法。 ②Psycho-Linguistic(心理言語学):人がとくに新しい言語を習得する際の心理的葛藤(カルチャーショックやホームシックなど)や、言語の認知処理等、言語と心理的な側面を結びつきを研究する学問。 |
大学で学んだことを基に、通常はカナダやアメリカなどの主に多民族国家で、子どもを対象に行われているイマージョン・プログラム(Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/イマージョン・プログラム)を応用して、「大人が短期間で外国語を習得するための学習法」を開発し、教えている。
だからこの英語の勉強の仕方は、先生のレッスン以外では学ぶことができず、レッスンは「暗記なし・教材なし・宿題なし」で英語を「経験」して慣れながらスピーキングを伸ばすことにフォーカスした内容になっていた。
例えば、カナダやアメリカ、南米などを先生も同行して旅行(言語冒険旅行)するコースなどもあった。
・英語の暗記(インプット)ではなく「話すこと(アウトプット)を重視した英語学習プログラム」
と
・ワーキングホリデーや留学の「サポート」
が1つになった『留学エージェント』をカナダに設立。
先生自身は英語・日本語・中国語・スペイン語・ロシア語・ポーランド語の6カ国語を話すマルチリンガルで、母国語である英語以外はすべて自身が確立した学習法を使って習得したということだった。
また大学時代に文部科学省奨学金留学生として筑波大学で交換留学していたこともあるため日本の文化にもかなり詳しく、大学卒業後に早稲田大学や東京外国語大学で言語教育の講演をしたこともあるらしい。

今は先生1人だけでなく、複数の先生方がいて、「先生1人・生徒1人のマンツーマンレッスン」どころか、「先生3人・生徒1人のレッスン(何人もの生徒に対して先生は1人の「グループレッスン」とは真逆!)」が受けられるようになっている。
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まとめ
日本人の両親の元、日本で生まれて成人した「日本人」で、カナダ留学するまで英語は苦手(というか全く話せない・・)だった自分でも、カナダで「減点方式」で「暗記」するだけの英語の勉強(=日本式の英語学習)を止めてから3ヶ月後には「自分が英語を話せている」と思えるようになった。
また、それまでは英語で沈黙ができることが怖かったり、「ミスをするのは恥ずかしいことだ」と思っていたが、英語でミスしてもそれは恥ずかしいことではないと思えるようになった。
初めて会う人から英語が「自然」だと言われたり「日本人の英語っぽくないから日本人だと思わなかった」とも言われるようになっていた。